ADHDの職場へのカミングアウトってどうすればいい?
ADHDであることを、職場の上司や同僚に伝えていますか?
私は、これまでに1人にだけ伝えました。ちなみに家族や友人には言ってません。
ADHDには、周囲からの支援が必要とはいうものの、メリットと同じかそれ以上に
デメリットもあるカミングアウト。いったいどうするのがベストなのでしょうか?
カミングアウトするメリット
- 仕事や日常生活でサポートを得やすくなる可能性
- 障害者雇用枠で働ける(オープン就労)
- うまくいけば心理的にラクになる(隠し事がなくなるという意味で)
- 万が一の、事故の際などの情報として参考になる(業務中の事故など)
障害者雇用に関しては、会社にも補助金が入るので双方のメリットにはなりますが、自分の収入はかなり減ると思われます。ただし、外資系の会社は、障害者枠でも健常者とほぼ変わらない給与で契約してくれるところもあるそうです。そのぶん、成果は求められますが。英語・その他外国語に自信があり、「この分野なら負けない」という得意分野があればチャレンジしてみるのもありかもしれません。カミングアウトしているという人が多いと感じた業界には、福祉関係があります。その場合、精神障害者手帳を取得して、障害者枠として就労しているようです。
カミングアウトするデメリット
- 理解が得られなければ「…言い訳?」と思われる可能性がある
- 障害を隠して就労していたことを逆に責められる可能性も
- 人間関係が悪い方へ変化する可能性
今の日本の大多数の企業では、ADHDであることを伝える=適切なサポートを得られるというスムーズな展開はあまり期待できないでしょう。成功している例としては、会社が、というより、その上司がADHDや、障害者に理解がある人だったというケースが多い気がします。つまり、誰に打ち明けるかが、分かれ道ですね。
うまく伝えるポイント
ADHDの症状を詳しく伝えるのではなく、「自分にとって」得意なこと、苦手なことを具体的にして伝えるようにします。ついつい、自分がこれまでどんな苦労をしてきたか、ADHDはこんなに困っているんだ、という話にしてしまいがちですが、上司はその話を聞かされても「で?何を望んでるの?」となります。欲しいのは同情ではなく、苦手な仕事の軽減や、全体的な時間・量の余裕、ミスを軽減するための工夫ですよね。ということは、それを伝えるために、「ADHD」という名は出す必要がないかもしれません。
自分のエピソード
私がこれまでに、ADHDという診断を受けたことを伝えたのは、元上司です。タイミングとしては、自分はうつ病で休職中、上司は異動の直前でした。その上司にカミングアウトをしようと思った理由は、社内で1番信頼できる人だったこと、職場の仕事内容を把握しているので、ADHD特性の自分にあった業務についてアドバイスをもらいたかったこと、そして、万が一全く理解してもらえなくても異動のタイミングなので今後一緒に働くことはないと考えたからです。
実際に話すまで反応は全く予想できませんでした。伝えると、「全く気づかなかった。全然そんな風に見えない」と言われました。ADHDについては全く知らなかったそうです。自分が困っている症状や苦手なことは、とても真剣に聞いてくれました。復帰後の仕事についても、いろいろアイディアをくれました。もちろんもう異動してしまうので、権限はありませんが。参考と、何かあれば口添えぐらいはできるかもと言ってくれました。
話の流れの中で、今年になってADHDであることをカミングアウトしたあるタレントさんの話をすると「そうか、やっぱアイツ、ちょっとおかしいもんな」という言葉をポロっとこぼしました。それを聞いた瞬間に、「あ…」と思いました。「そうか、これが発達障害になんの知識もない人の“普通”の反応だよな…」と。「発達障害」という言葉から連想するのは、やっぱりそういうイメージか…。もちろんその後説明して誤解している部分(見た目は何も影響ない等)は伝えました。
話したことを後悔しているか、自分でも分かりません。自分が思っていた「理解してもらえるかも」が甘かったことは認識しました。本当に理解してもらいたいなら、もっと時間をかけてしっかり伝えなければいけないし、そもそも職場の上司にそれをすることは、単なる押し付けのような気もしてきました。復職した職場で自分が何を望むのか混乱してきました。ADHDの診断がおりたのは事実ですが、休職する前の自分と後の自分は実質何も変わりません。(どころか、ストラテラ飲んでる分少しマシになるはず?)一方で、この世でたった一人でも自分の秘密を共有してくれた(無理やり持たせたわけですが)という事実は、自分の心を少しだけ軽くしてくれました。完全に自己満足です。結果として、もうほとんど会うことがないタイミングで良かったんだなと思います。
結局、この時の自分は、ADHDとして職場に戻ることの相談のふりをして、自分が信頼している人から同情されたかった、可哀想だと思って欲しかっただけなんだなと、こうして振り返っていて気づきました。お恥ずかしい。みなさんは、くれぐれも間違えないようにご注意を…。
今後、私は職場でADHDであることはカミングアウトしません。ゆえに、二次障害にだけは二度とならないように、薬の力に頼りつつ、自分の苦手を把握し、休職中に学んだ「無理をしない技術」「断る技術」「愛嬌(これ苦手)」で、負荷をうまく避けつつ仕事をしていけたらと思います。
自分のことを理解して欲しいと望むのは、将来生活を共にする人だけです。その人にだって、自分ができることは、理解して欲しいと望むこと、理解しやすいように伝えるだけで、理解するか、支えてくれるかは自分がコントロールできるところではないですからね…。これはADHDだけの問題ではなさそうです。
さあ、どうやってお金を稼ごう?―LD、ADHDの人のための将来設計ガイド 就職活動編
- 作者: デイル・S.ブラウン,Dale S. Brown,ニキリンコ
- 出版社/メーカー: 花風社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
ポチッと押していただけると更新の励みになります!