アラサー女の 成人ADHD記録〜ストラテラ飲んで仕事します〜

アラサー女、成人のADHDだけど、ストラテラの力を借りて、わりと楽しく生きてます。

【関連書籍】「生きづらい」と感じている全ての人におすすめしたい『生きる技法』

f:id:adhd_misoji:20160630205845j:plain

生きる技法

ここ数年に読んだ本の中で、1番衝撃を受け、1番繰り返し読んだ本です。この本は、「自分らしく生きる」ことに苦労し続けている発達障害を持っている人たちにも読んでもらいたいし、愛着障害、“毒親”の影響で不安感や焦燥感を抱え続けている人たちにも読んでほしい一冊です。

 

著者の安冨歩さんは、女装の東大教授というインパクトのある肩書きの持ち主ですが、それは、母親や配偶者から支配され隷属する人生と決別した結果、ありのままの自分として生きることに成功し、その過程で考えたことをこの本で書いています。

 

「助けてくださいと言えたとき、人は自立している」
「自立とは、依存すること」

 

これ、読んでない方には全く分からないですよね。むしろ、「正反対じゃないの?」と感じる方のほうが多いかもしれません。私も、昔から「しっかりしてるね」と言われ続けた根っからの長女気質なので、読み始めたときは「何を馬鹿なことを」と思っていました。誰にも頼らずに、自分でいろんなことをこなせる。そういう人に迷惑をかけない人を「自立した人」だと心の底から信じていました。ですが、この本を読んだ今、なんでこれまで気づかなかったのかと、目から鱗が落ちるとは、このことか!という思いです。

 

本の中で詳しく説明されていますが、自立しようと他人との関係性をどんどん絞っていくと、僅かに残った人との間には「この人に縁を切られたら…」という不健全な関係性が生まれます。ということは、この人からは離れられないという隷属ができている状態です。安冨さんの理論はこれの逆説で「いつでも誰かが助けてくれる」という関係性を構築し、それを持ち続けることができれば、誰かに隷属することなく、自分の良い成長のために付き合える本当の友だちができ、それこそが「自立している」状態ということになります。

 

自分の場合は、これは間違いなく両親との関係でした。「常に良い子でいなければならない」という暗示が、幼少期から実家を離れた後もずっと続いていました。学校では「こう言えば先生(大人)は褒めてくれる」という計算で動いていたし、大きくなっても「優秀」「才能がある」「特別」でなければ“許されない”という暗示がずっと続いていました。この結果が、「うつ病」の根本的な部分だと思います。ADHD特性による「失敗」が多忙でカバーできなくなると「こんな自分では許されない」「親に喜んでもらえない」というプレッシャーでパニック状態になり、ますます仕事で失敗が続き、休職して人生のどん底を感じた今に至ります。

 

うつ病の療養過程で「認知行動療法」に出会い、その中で自分の思考には「〜でなければならない」という思い込みがとても強くかかっているという事実に気づきました。そこから、ヨガの考え方を知ったりと「今のありのままの自分」という存在に気づいて、少しずつ考えが補正されて、少しくらいの嫌なことなら、自分で立て直せるようになりました。

 

そんな時に出会ったこの本は、自分の考え方を一気に大きく変えました。本の裏の帯に「全ての言葉の意味が、鮮やかに読み替えられる」とありますが、本当に!この本は全部で8章から成っていますが、その全てが今まで認識していた意味から大きく変化しました。

 

  1. 自立について
  2. 友だちについて
  3. 愛について
  4. 貨幣について
  5. 自由について
  6. 夢の実現について
  7. 自己嫌悪について
  8. 成長について

 自分の中で特に印象的だったのが「貨幣について」の章。「なんで人間はお金に執着するのか」「お金より大切なものがある」こういう、なんとなく思っているけど、いざ説明しようとするとうまく言葉にできないものが、超スッキリと腑に落ちました。お金とは、なんとでも交換できるからみんなが欲しがり、みんなが欲しがるから価値があるんですね。でも、お金を持つことに執着してしまうと、今度はお金がなくなる恐怖に支配されてしまうので「お金は人との信頼関係を築くのに使う」というのが正しい使い方、ということです。

 

「自己嫌悪について」の章は愛着障害に身に覚えのある人はとても役立つと思います。「生まれてすぐの赤ちゃんに自己嫌悪はない」というフレーズはすごいですよね。そらそうだ…!親や教師など、周囲の大人から押し付けられた自分像との決別は、自分の決意と本当の友だちの力で可能という言葉にはとても勇気づけられました。

 

もう、自分の拙い言葉ではこの本の衝撃を伝えきれないのが悲しいです。全てが【命題】、【間違った命題】、その解説で書かれているので、自分のような理屈っぽい人も納得して読めるかと。最終的に辿り着く結論は、古今東西使い古された言葉なんですよ。「幸せとは感じるものだ」という。でも、著者が自身の苦難を一つずつクリアして実際に自分の人生を大きく変えた体験の末に、なぜそうなのかを説明できるようになっているという部分に最大の魅力があると思います。

 

あ、ちなみに安冨さんの日常エピソードが、めっちゃADHD特性です。もしや、お仲間か…??