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アラサー女の 成人ADHD記録〜ストラテラ飲んで仕事します〜

アラサー女、成人のADHDだけど、ストラテラの力を借りて、わりと楽しく生きてます。

アダルトチルドレンを抱えた小説家の半自伝と精神科医との対談本を読みました。

自分が母との間に愛着の問題があるかもしれないと病院で言われた少し後、図書館の本棚で関連書籍の棚に見慣れた名前を見つけました。それは、小説家の村山由佳さん。中学生の頃に「天使の卵」を読んで以来、高校卒業ぐらいまでは村山さんの書く小説は全部読むほどの大好きな作家さんでした。そんな彼女の名前を「心理」の棚で見かけたので、気になって手に取った本が「「母」がいちばん危ない ~`いい娘'にならない方法~」でした。

  

「母」がいちばん危ない ~`いい娘'にならない方法~

「母」がいちばん危ない ~`いい娘'にならない方法~

 

 

精神科医の斎藤学さんとの対談形式で、村山さんと彼女の母の関係について、かなり明け透けに書かれています。村山さんの母は、かなり演技かかったタイプの強烈な毒母だそう。母の呪縛に縛られて、優等生でしかいられなかった過去を語っています。

 

 

村山さんは、この対談の前に「放蕩記」という半自伝の長編小説を書かれています。後にこちらも読んでみましたが、アダルトチルドレンや愛着障害に身に覚えがあるとなかなか、感情が入り過ぎてしまってしんどいところもありました。

 

母の期待に応えようと、どんどん関係を歪めていってしまうところは、自分とも似たところがあるかなと思いました。村山さんは母に対する表面には出せない反抗として、万引きや同性との恋や父との過剰なスキンシップなどを経験していきますが、それは自分はやったことないなぁ。このあたりが、自分の問題とは根本的に違うんだなと思えたあたりで、自分の場合は、覚えていないぐらいの乳幼児期にこそ、母との関係が希薄で愛着感情がうまく持てないものの、反抗はしなかったし、その後の母の子育て自体はいたって普通だったなと思っています。自分側の受け取り方が歪んでしまっていただけで、家族関係はきっと普通、むしろ良好だったんだろうなと思いました。

 

放蕩記に出てくる村山さんの母は、私からは“大人になりきれない子ども”に見えます。女としても、“母になれない少女”です。ということは、この母自体、アダルトチルドレンの問題を解消できていないんだろうなと感じました。「自分が」愛されたい、「自分が」注目を浴びていたい。だから娘に対する対応も、娘の反応を通して、それに満足する「自分」を目的にしているんですよね。うん、一言で言えば、これは「気持ち悪い」。でも、こういう人って、程度は違えど世の中にたくさんいるよなぁ…。

 

ただ、村山さんの小説家としての成功って、きっとこの母なしでは、成し得なかったんじゃないかと思うんですよね。岡田尊司さんも「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」で書いていますが、小説家には、愛着に問題を持った人が多いと。安定した家庭に育ち、結婚して満ち足りた日常を送っていたら、これまでの作品はきっと書けていなかったはず。何かを生み出す創造力って、自分の中の日常では解消できないドロドロした感情が動力になっている、そんな気がします。

 

村山さんの作品は通称「白村山」という“心に傷を負った人たちが癒されていく”系統の作品と、「黒村山」という濃厚な性描写含む、ドロドロした大人の恋愛作品とあって、どっちが好きだとか、どっちがいいだとか色々と批評されていますが、ほとんどの作品において、主人公、または登場人物の女性に、毒親の母の影響の影があり、現在の人間関係を妨げているという設定があります。私が昔大好きだった「翼―cry for the moon」も母に否定されて育ってきた主人公の女性がカウンセリングを受けるところから物語が始まっています。「すべての雲は銀の…」という話に登場する小学生の女の子も、支配的な母親との関係に疲れて家出をします。私はこういう女性たちの描写に、「ああ、わかるなぁ」と自分を重ねていたんだと思います。

 

この女性たちの心の機微や、人との関わりを望んでいるのに上手くできないもどかしさ、それでも愛して欲しいという切望。これを描き切れるのは、村山さん自身のこれまでの体験や、それを昇華したいという強い思いがあるからじゃないのかなと感じます。つまり、親から受けた影響は良くも悪くも、未だ色濃く彼女に残っていて、小説を書くという行為がそれに向き合う原動力であり、書くことで少しずつ自分で解毒していこうとしているのかな、と思いました。そのせいか、「放蕩記」の後に書いた最新作の「天翔る (講談社文庫)」は、珍しく毒親が出てこない作品で、後味爽やかな気持ちのいい小説でした。間違っても、「小説のネタになってるんだったら毒親で良かったじゃん」とは思っていません。しかし、皮肉なことではありますが、今も消せないくらいの影響を落としているのは紛れもない事実なんじゃないかと思っています。

 

「放蕩記」について、村山さんが講話した内容がこちらにあったので参考まで。

その人の素顔|村山由佳(作家) ×池上冬樹( 文芸評論家) 対談 「人の心の裂け目という、言葉になりにくい部分を、言葉にする」

 

小説はフィクションではありますが、愛着障害やアダルトチルドレンの言動、心理を描いた作品たちですので、機会があれば是非ご覧ください。

 

 

放蕩記 (集英社文庫)

放蕩記 (集英社文庫)

 

 

天翔る (講談社文庫)

天翔る (講談社文庫)